今回は虫歯の最終段階C4の治療方法についてです。
虫歯レベル?C?なにそれ?って人はこちら↓
C1~C3の治療方法についてはこちら↓
目次
C4ってどんな状態?
C4とは最も虫歯がひどく、歯の頭が無くなって根しか残っていない状態のことを指します。
根しか残っていないということから残根(ざんこん)と呼ぶこともあります。
こんな感じ。
こうなってしまった歯は抜くしかありません。
根が長いときはごくまれに根の上の方を引っ張り出して無理矢理クラウンをするということもありますが、自費診療で高額だし持ちが良くないのでほとんどしません。
※エクストルージョンという処置です。費用は5~10万円くらい。矯正みたいに針金とゴムをつけて根を引っ張り出します。引っ張るのに約2ヶ月、位置を固定させるのに約2ヶ月、その後クラウンにするのに約1ヶ月の約5ヶ月はかかる大変な治療です。
今回は歯を抜いたときにどんな治療方法があるかご紹介します。
歯を抜いたときの治療方法は大きく3つ
歯は上下かみ合わさることでお互いに「これ以上出てこないでね」と牽制しあってその場所から動かなくなります。
そのため、かみ合わさる歯が無くなるとにょきにょきと歯茎から出てきてしまいます。
特に下の歯を抜くと上の歯は重力で下りてきやすくなるので、周りの歯よりも頭が出てるってことが起こりやすいです。
このように周りの歯よりも頭が出ることを挺出(ていしゅつ)と言います。
わたしは右側の親知らずが上しか生えていなかったので、それ以外の上の歯に比べて頭が半分くらい出ていました。
また、抜いたところの左右の歯も「横に空間ができたぞ!わーい!」と空いた方に倒れてきます。
歯を抜いたまま放置するとこのような悪影響があるので、抜いた箇所を補う治療をしましょう。
治療内容としては次の3つの方法があります。
ブリッジ
入れ歯
インプラント
ただし、どの歯でも上の3つ全部できるというわけではなく、抜いた箇所や状態によって使える方法が限られます。
それぞれの治療ができる条件を見ていきましょう。
ブリッジができる条件とメリットデメリット
ブリッジとは、歯を抜いた箇所の前の歯+歯を抜いた箇所+歯を抜いた箇所の後ろの歯に繋がったクラウンを入れる治療法です。
歯を抜いたときに一番使われる治療方法ですね。
連結冠(れんけつかん)と言われることもあります。
こんな感じで歯を抜いたところの前と後ろの歯も削って繋がったクラウンを入れます。
歯を抜いたところの前と後ろ、つまりブリッジを被せる中で歯が残っているところを支台歯(しだいし)、歯を抜いたところをポンティックと呼びます。
ポンティックは”ダミーの歯”なんて表現する人もいますね。
繋がっていても歯の頭いくつ作るかに応じて1本2本と計算するので、上の図だと3本構成のブリッジということになります。
基本的には歯を抜いた箇所+前後の構成ですが、2本連続で歯が無いときなどは強度を出すために繋げる本数を増やします。
しかし、強度的な問題などから原則3本以上連続で歯が無い箇所には使えません。
またブリッジは歯を抜いた箇所の前後に歯があることが前提なので、一番奥の歯を抜いてしまったときには基本的には使えません。
たまーに一番後ろをポンティックの状態のブリッジを入れることもありますが、外れやすく前の歯にも負担が大きくかかるのでやる医院は少ないです。
ブリッジのいいところは手軽なところですかね。
入れ歯やインプラントに比べると治療への抵抗感も少ないし選びやすい治療内容だと思います。
保険も使えます。が、クラウンと同じで前から4番目以降の奥歯は銀歯になります。
クラウンについてはこちらに詳しく書いています。
ちなみに保険が使えるクラウンの中に、金属を使っていない歯と同じ色のCAD/CAM冠というものがあると紹介しましたが、CAD/CAM冠は繋げた形にはできないのでブリッジでは使えません。
それ以外はクラウンと使える材質は同じです。
保険適用なら銀(前歯は前装冠)、自費なら金がセラミック。
保険適用でも3本構成のブリッジで1万5000円くらいかかります。歯を抜いちゃった後ってお金かかるんですよ。
保険適用の銀歯は値段以外メリットないので絶対おすすめしません。しばらくしたらまた虫歯になっちゃうリスクも高いし。
きれいな見た目で長年使うならオールセラミックがいいですよ。
ブリッジなら”ジルコニアセラミック”一択です。
それ以外のセラミックは金属混ざったり樹脂混ざったり強度頼りなかったりでよろしくない。
セラミックについてはこちらにまとめてます↓
ブリッジはマイナス面も結構あります。
まず支台歯が絶対必要なので、抜いた箇所の前後の歯が健康でも削らないといけないところ。勿体ないです。
次に歯の間の掃除が面倒。
というのも頭のところは繋がってるからフロスとか糸ようじが上から入らないんですよね。
なので上は諦めて下から、つまり歯茎側から道具入れて掃除することになります。
そこで必要になるのが歯間ブラシです。
これじゃ。
この歯間ブラシを歯茎とブリッジの隙間に突っ込みます。
上の前歯の画像しか見つからなかったから申し訳ないですが、画像の赤丸の部分です。
ここに歯間ブラシをぶっさして汚れを掻き出します。
歯間ブラシはクセになる気持ちよさだけどやりすぎると歯茎傷つけちゃうから理性を持って。
もちろん天然の歯でも積極的に使いましょう。歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは取り切れません。
歯間ブラシもたくさん種類があるのでまた今後おすすめ商品まとめようと思います。
ということでブリッジについてまとめると、
メリット
- 一番抵抗感なくできる治療法
- 見た目は悪いが保険が使えるものもある
デメリット
- 一番奥の歯を抜いたときには使えない
- 連続で3本以上歯が無いところには原則使えない
- 抜いたところの前後の歯が健康でも削らないといけない
- 隙間の掃除に歯間ブラシが必要
入れ歯ができる条件とメリットデメリット
入れ歯=お年寄りが使うものというイメージがあるので皆さん敬遠すると思います。
でももしかしたら入れ歯が一番条件のいい治療法なのでは?と思うんですよね。
というのも入れ歯は使えない条件がありません。
箇所も状態も何でもOK。
ちなみに入れ歯のことをデンチャーと呼ぶことがあります。歯医者ではこっちを使う方が多いですね。
部分入れ歯のことをパーシャルデンチャー(P.D)、総入れ歯のことをフルデンチャー(F.D)と分けて呼びます。
入れ歯洗浄剤の「パーシャルデント」って有名ですが、あれ部分入れ歯専用だからこの名前なんですよ。へぇ。
デンチャーは上顎と下顎と分けて考えますが、上に1本、下に1本でも自分の歯が残っていたら、それ以外が入れ歯でも部分入れ歯という扱いになります。
仮に上の歯1本しか残っていなければ、上は部分入れ歯、下は総入れ歯です。
今回はブリッジやインプラントと比較するために1本だけ歯を抜いた場合を想定して話しますね。
保険適用で作るならこれ。1本だと5000円くらい。
金属のバネを前後の歯に引っ掛けるタイプです。
バネが引っかかりやすいように前後の歯を少し削ってくぼみをつけますが、本当に軽くなのでブリッジに比べたら全然削りません。
つけるとこんな感じ。
まー何よりも気になるのはやっぱりバネですよね。
前歯でも奥歯でも同じ金属のバネを使うので、箇所によっては入れ歯とモロバレです。
バネを使わないタイプは自費診療になります。
バネの部分をクラスプというので、バネの無い入れ歯を「ノンクラスプデンチャー」と呼びます。
2本の画像ですみません。
保険適用のデンチャーはプラスチックでかなり分厚い仕上がりですが、ノンクラスプデンチャーはペットボトルのようなポリエステル樹脂でかなり薄く作ることができます。
薄い方が自分の歯茎やあごの骨にフィットしやすいので使いやすいです。
また、柔らかいので壊れにくく、吸水性が低いので食べ物や飲み物を吸い込むことが少なくきれいな状態が長く続きます。
特に1本だけの人はつけてるのを忘れるくらい違和感ないと言われる方がほとんどです。
見た目、機能ともに良好!
それに1本だけならブリッジより早く終わります。歯型取って次回装着の最短2回。
手入れがめんどくさいという人もいますが、ブリッジと比べるとどっちもどっちかなーと思います。
デンチャーは取り外しできる分掃除がしやすいのですが、逆にいちいち取って手入れするのめんどくさいという人もいます。
デンチャーの手入れ方法についてはまたの機会に。
ブリッジもちゃんと歯間ブラシで隙間の掃除しないと高確率で汚れ溜まるので本当どっちもどっちです。
それよりも問題なのは値段ですね。
1本でも10万円くらいが相場です。
高いーけどそれ以上にメリットが大きいと個人的には思います。
1本だけのデンチャーならどこで作ってもそこまで仕上がりは変わらないので、安い医院を探すのがポイントです。
もっと本数が多いと他にも自費のデンチャーの種類がありますが、1本だけだったらノンクラスプデンチャーor保険の選択肢から選ぶことになります。
あ、寝るときは絶対外してくださいね。結構な確率で飲み込むので。
メリット
- 簡単ですぐできる
- 箇所や状態に関係なく使える
- 見た目は悪いが保険が使えるものもある
- 自費のノンクラスプデンチャーなら見た目もよく適合の違和感も少ない
デメリット
-
- 取り外して手入れが必要
- 保険適用のものは金属のバネが目立つ
- 自費のものは高価
インプラントができる条件とメリットデメリット
歯科医院勤務時代からずっと思っているんですが、クラウンとインプラントがごっちゃになってる人多すぎ!
うちの母親も何回言っても間違えるのでもう諦めてます。
クラウン(差し歯)は自分の根が残ってるとき!インプラントは根から丸ごと歯が無いとき!
まぁ構造知らないと間違えるのも無理ないですけどね・・・しかもインプラントでも特殊タイプのクラウン出てくるし・・・
ここでわかりやすくインプラントの流れを説明したいと思います。
①歯を抜いたところのあごの骨にドリルで穴を開ける
②歯の根の代わりとなる「フィクスチャー」と呼ばれる金属のネジを埋め込む
③コア(土台)の代わりとなる「アバットメント」をフィクスチャーにつける
④インプラント専用のクラウン(上部構造)をつけておしまい
気づいた人もいると思いますが、インプラントの工程は歯の神経を抜いたときと同じことを人工物で行ってるだけなんです。
あごの骨に穴開けるなんて怖い!って思うかもしれませんが、個人的には親知らずの抜歯より楽だと思ってます。
インプラントはあらかじめどの長さ・太さのフィクスチャーをどの角度で入れるかというのが予測でき、手術のときはそれに合わせて作業するだけです。
親知らずの抜歯だと歯茎切って御開帳したら、「うわ、こんな状態になってんの」ってイレギュラーが発生することもあるので結構バタつくんですよね。
それはさておきまずはインプラントのいいところについて。
一番は周りの歯を削らなくていいというところですね。
ブリッジとデンチャーは少なからず前後の歯を削らないといけませんが、インプラントは周りの歯は触らなくてOK。
あとインプラントは完全自費診療でクラウン(上部構造)も自費のものにしないといけないので、セラミックにするのが一般的です。
なので見た目がきれいに仕上がるのもいいポイント。
ただ大掛かりな手術となるためマイナス面も多々あります。
まずはあごの骨がしっかりしていないと施術できないこと。
あごの骨は加齢や歯周病によって溶けてしまいます。
先ほど説明した通りインプラントはあごの骨の中にフィクスチャーを埋め込むので、骨がしっかりしていないと埋め込むことができません。
溶けが軽度の場合は骨を再生する薬を使って骨を作ってからフィクスチャーを埋め込みます。
高齢の人はその薬を使っても基準値まで骨が戻らないのでインプラントは困難なケースが多いですね。
また、骨粗しょう症の人は施術できないことがあります。
インプラントの手術後はフィクスチャーが骨と馴染んでいくのが普通ですが、骨粗しょう症の場合はそれがうまくいかないことがあります。
仮に手術はできるとなったときでも、骨粗しょう症の薬を飲んでいる人は何ヶ月も前から服用を中止しないといけません。
必ず病気のことを歯科医師に伝え、おくすり手帳も提示してください。
そして何よりもネックなのが費用が高い。
歯科治療で一番高いのは矯正で、インプラントはその次に高い治療だと思います。
しかも医院によって値段がバラバラ&設備もバラバラ。
安いと30万円くらい~高いと100万円取るところもあります。
また、普通の治療と変わらない感じでやるところもあれば、個室で全身麻酔で先生たち手術着を着て完全殺菌みたいな、モロ外科手術って感じでやるところもあります。
殺菌とかは衛生的なことはきちんとやった方がいいですが、過剰にやってその分お金取るって場合もあるのでそれなりなところを選んだ方がいいです。
まぁ一番は先生の腕ですけどね。
インプラントは失敗すると口や骨にダメージがあるだけでなく、顔の変形、頭痛、声を出せなくなるなど重大な問題が起こる恐れもあります。
安さだけで食いつかず口コミや実績を見て医院を選びましょう。
メリット
- 周りの歯を削らなくていい
- セラミックを使ってきれいな見た目になる
デメリット
-
- かなり高額
- あごの骨がしっかりしていない人や持病によっては施術できない
- 失敗すると体にかなりの悪影響がある
まとめ
歯を抜くと保険を使っても万単位の治療費が必要になります。
また、治療するにしても健康な周りの歯を削ることになる場合もあり、他の歯まで弱くしてしまうことになる可能性もあります。
歯や根っこが割れちゃって仕方なく抜歯というときはしょうがないですが、虫歯を放置してC4の状態になったときは完全に自分の責任です。
虫歯治療は状態が悪くなればなるほどお金がかかります。
定期検診に通って早めに虫歯を見つけること、虫歯が見つかったら放置せずにすぐ治療することが、歯にとってもお財布にとっても優しく自分のためになります。
ということで何度も言ってますが定期検診通いましょう!
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