歯の治療は難しくない!デンタル迷子から脱しよう!

  1. 歯の治療説明

虫歯レベルC3の治療方法【クラウン選抜総選挙】

今回はC3の重度の虫歯のときの治療方法についてご紹介したいと思います。

※C1,C2の治療方法についてはこちら↓↓

虫歯レベルC1・C2の治療方法【CRってどんな治療なのか】

虫歯レベルC2の治療方法【インレー選抜総選挙】

C3とはどういう状態?

C3になると歯の神経に近いところまで虫歯が進んでいて、何もしてなくても痛いという状態です。

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奥歯(臼歯)の断面図です。

赤い紐のようなものが歯の神経ですが、すぐ近くまで虫歯が広がっていることがわかります。

この状態の虫歯を削るとほとんどの場合で神経が出てきたり、神経まで感染が進んでいたということになるので、神経を抜く処置が必要になります。

神経を抜いてから治療完了までの流れはこんな感じ。

  1. 神経を抜く
  2. 土台(コア)を入れる
  3. 被せ物(クラウン)を入れる

それぞれの処置について詳しく解説していきましょう。

神経を抜く処置ってどういうことするの?

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神経を取る処置のことを専門用語で「抜髄(ばつずい)」と言います。

神経のことを「髄(ずい)」と言うので、髄を抜くという意味ですね。

神経は歯の中の管のようになっているところに通っています。

上の画像の赤黒くなっているところがその管です。

そこに爪楊枝のような細い器具を入れます。

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神経は透明でちょっとどろどろしていて、汚い表現ですが鼻水みたいな感じです。

この爪楊枝みたいな器具はリーマーと言って、先がギザギザになっているのでこれで管の中をくりくりほじって神経を絡めとります。

神経を取った後は管の中を消毒して虫歯菌を殺菌しますが、消毒1回だけではしっかりと殺菌ができないので、2~3回消毒を繰り返すのが普通です。

消毒をしている間は長く期間を空けると逆に細菌感染のもとになるので、1週間~長くても2週間に1回は消毒を行うようにします。

この消毒をする処置のことを「根管治療(こんかんちりょう)」略して「根治(こんち)」と呼んでいます。

英語で「Root Canal Technic(ルート・キャナル・テクニック)」と言うので、頭文字から「RCT」と言うこともあります。

この期間こまめな通院が必要でめんどくさがって途中でやめちゃう人がいますが、消毒途中で治療をやめたらその歯は死んだものと思ってください。

ほとんどの場合でその先の末路は抜歯です。

歯の根だけでも残っている状態と完全に歯がない状態では、治療にかかる期間も値段も大きく変わってきます。

歯の根だけでも残せるうちにきちんと治療を終わらせましょう。

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消毒を繰り返すとこのように管の中がきれいな空洞になります。

空洞の状態だと歯の耐久性が落ちる&また細菌に感染しやすくなってしまうので、特殊な薬を入れて蓋をします。

この蓋をする処置のことを「根管充填(こんかんじゅうてん)」略して「根充(こんじゅう)」と呼んでいます。

英語だと「Root Canal Filling(ルート・キャナル・フィリング)」なので頭文字から「RCF」と言うこともあります。

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根充は中に唾液が入るとアウトなので急いでやらないといけません。

助手の仕事も大変なんだけど終わったときに達成感を感じられるので結構好きでした。

上の画像のピンクの部分のように管の4分の3くらいまで蓋をします。

空いている上のに方は土台(コア)を入れるため空けています。

そしてこの土台から自費診療と保険診療が分かれます。

土台を自費のものにしたら治療が終わるまで原則自費診療のみと決められているので、土台に何を選ぶかが重要になります。

ちなみにここまでで治療費は保険使ってだいたい3000円くらい。

前歯か奥歯かで多少変わります。(奥歯の方が高い)

土台(コア)って何?どうして要るの?

土台は神経を取った歯を補強するための支えになるものです。

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このように土台を根の中に差し込むので、よく「差し歯」と言われていますね。

保険の土台(コア)について

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保険適用だと銀合金で作られた金属の土台が一般的です。

保険3割負担で1,000円くらい。

少し前に歯科の規則が変わって、後から紹介するファイバーコアの低ランク版を保険でも使えるようになりましたが、使える条件が限られているので相変わらずこの金属の土台が主流となっています。

上の画像はちょっとオーバーですが、根っこの真ん中くらいまで土台を入れて、それより下は蓋の状態のままというように治療します。

金属の土台は強度が高いので土台自体が割れることはありません。

ただ、歯は噛んでいるときや歯ぎしりなどで前後左右に動きますが、金属の土台が入っているところは動かず、入っていない根の先端の方は動くことになるため、土台と根の蓋した境目から根が割れてしまうリスクがあります。

上の画像で言うとグレーとピンクの境目部分ですね。

根が割れてしまうともうその歯は残せないので、抜いて入れ歯かインプラントかブリッジにするしかありません。

また、金属アレルギーの心配や、金属イオンが溶けだして歯が黒くなるということも起こる可能性があります。

それから、土台は接着台で根の中に固定するのですが使える接着剤が決められていて、経年劣化で接着力が弱くなって外れてしまうことが多い接着剤になっています。

さらにさらに、土台の上に被せる被せ物(クラウン)の材質次第では、土台の色が透けて被せ物が暗く見えることがあります。

未来のことを考えるとデメリットが多いのでおすすめしません。

メリット

  • 保険が使えるので安い

デメリット

  • 硬すぎるので歯が動くと土台と根っこの境目から歯が割れる可能性がある
  • 金属アレルギーの心配がある
  • 金属イオンが溶け出して歯や歯茎が黒くなる
  • 接着剤が溶けて外れることがある
  • 色が透けて被せ物が暗く見える

自費の土台(コア)について

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自費で使う土台はグラスファイバーでできたファイバーコアと呼ばれるものが一般的です。

保険適用外で1万円~2万円くらい。

先ほど保険適用でもファイバーコアが使えるようになったと言いましたが、保険適用で使えるのは決められたメーカーのもので、自費診療で使われているものより質が劣ります。

イラストのように根の形にぴったりはまるように作ったものを接着剤でくっつけたり、棒状の芯と樹脂を使って作っていったりといくつか方法があります。

どのような方法で作っても色は白色なので、金属の土台のように色が透けて被せ物が暗く見えるということはありません。

ファイバーコアは歯と同じくらいの硬さなので、歯が動いたときに金属の土台のように境目で割れるという心配がありません。

もちろん金属不使用なので金属アレルギーの心配や黒くなる心配もありません。

ちょっと高いけど今後長く良い状態で歯を使うためにはファイバーコアがおすすめです。

また、土台を入れた後は被せ物(クラウン)を入れることになりますが、きれいな見た目のセラミックを入れるためには自費のファイバーコアにしないといけないので、セラミックを検討している場合は自費のファイバーコアを選びましょう。

ちなみに保険適用のファイバーコアの上にセラミックを被せることは禁止されています。(すでに治療したことのある歯の被せ物だけ替える場合はOK)

メリット

  • 歯と同じ硬さなので歯が動いても割れる心配がない
  • 変色しない
  • 根っことのなじみがいい
  • どんな被せ物を入れても色の見え方に影響がない

デメリット

  • 保険がきかないため高額

最後は被せ物(クラウン)を入れて完成

土台を入れたらあとは被せ物(クラウン)で蓋をして完成です。

クラウンも保険診療と自費診療で使えるものが分かれています。

保険の被せ物について

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再登場歯式くん。

保険の被せ物は部位によって使える材質が変わります。

  • 前歯(上の図赤色の歯):前装冠
  • 小臼歯(上の図緑色の歯):FMCもしくはCAD/CAM冠
  • 大臼歯(上の図青色の歯):FMC

このように大きく3つに分かれています。

※特例で大臼歯にもCAD/CAM冠が使えるようになりましたが、条件が厳しいので今回は除外してます。

前装冠(ぜんそうかん)とは?

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前装冠は表が樹脂、裏が金属になっている前歯専用のクラウンです。

つまり唇側は歯の色に近い色で、口を開けると内側は金属になっているということですね。

口を開けるとちらちら金属が見え隠れします。

樹脂の部分は周りの歯に近い色を選べますが、1色のべた塗りなので天然の歯のような透明感はつきません。

また、汚れがつきやすく、食べ物の色の吸収や経年劣化で結構すぐに変色して黄ばみます。

あとは金属の土台と一緒で金属アレルギーや歯茎の変色を引き落とす可能性があり、接着剤も土台で使うものと同じなのでそのうち外れる恐れがあります。

前装冠はこんなにデメリットが多いのに保険を使っても1本8000円くらいします。

やっぱり保険適用のものは難ありですね。

前装冠に8000円出すなら比べ物にならないほどきれいなオールセラミックの元手にした方がいいと思ってます。

メリット

  • 保険が使えるので安い

デメリット

  • 樹脂が変色して黄ばんでいく
  • 金属アレルギーの心配がある
  • 金属イオンが溶け出して歯茎が黒くなる
  • 接着剤が溶けて外れることがある
CAD/CAM冠(キャドキャムかん)とは?

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CAD/CAM冠(キャドキャムかん)は樹脂のブロックを機械で削り出して作る、全部樹脂で金属を使っていない被せ物です。

樹脂だけだと強度があまりないので比較的力が入らない小臼歯のみに使います。

でも歯並びやかみ合わせの癖なんかで小臼歯にガンガン負担がかかる人もいるので、そういう人には使えません。この後で紹介するFMCを使います。

材料は前装冠に使う樹脂とほぼ同じ。なのでそのうち変色します。

全体的に白っぽい仕上がりで正直安っぽい見た目です。

また、金属の土台の色が透けやすい材質で、CAD/CAM冠自体が新品でも内側からぼんやりと黒さが出て暗く見えがちです。

CAD/CAM冠には金属は使わないのでアレルギーや歯茎の変色は避けられますが、大抵中の土台に金属を使っているのであんまり意味がないのが実際のところ。

こちらも前装冠と同じで1本8000円くらいなので、やっぱりオールセラミックの資金に充てた方がいいんじゃないかなぁと思います。

メリット

  • 保険が使えるので安い
  • 金属不使用

デメリット

  • 変色して黄ばんでいく
  • 強度が低いので割れやすい
FMC(えふえむしー)とは?

Full Metal Crownの略で『全部金属のクラウン』の意味です。

昔はFCK(full cast krone)と呼ばれてました。

kroneとはドイツ語(他にもデンマーク語とか)でcrownのこと。

castは英語で『金属を鋳造する』という意味です。

full castは英語なのにkroneだけドイツ語でごちゃまぜ状態だったのが全部英語のFMCに変わりました。

個人的には医学用語=ドイツ語って感じがあるので貴重なドイツ語が無くなって悲しいです。

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FMCは言葉の通り全部金属でできたいわゆる『銀歯』ですね。

CAD/CAM冠が使えない小臼歯と、大臼歯全部に使います。

1本4000円くらいで一番安い被せ物で、樹脂を使ったものより強度もあります。

メリットは以上。デメリット大量。

まず見た目が悪い。

虫歯を治療せず放置していないだけえらいですが、せっかく治療するなら虫歯を繰り返しにくくて見た目も良いオールセラミックにすればいいのになぁと思います。

そして金属の土台+金属の被せ物の金属ダブルパンチで、歯茎の変色がより起こりやすくなります。

治療してるときはお金勿体ないからってFMCにして、数年後に歯茎の変色が気になるから治して被せ物もセラミックにしたいと言う患者さんはかなりいます。

歯茎の変色を治すためにはレーザーで焼いたり薬を塗って漂白っぽいことをしたりしますが、どれも基本的に保険がきかず自費診療扱いです。

※ガムピーリングと言います。また別記事で詳しく紹介します。

軽度だと3000円くらいでできる医院もありますが、前歯全体の歯茎の漂白とかになると1万円超えもあります。

変色は放置すればするほど範囲が広がって、広がれば広がるほど完治が難しくなります。

後から問題がでてきてまたお金がかかるなら、1回治療したらその後に問題が起こりにくいものの方がよくないですか?

もー日本って保険医療が整ってるとか言うけど、結局使ってるもの質悪いしダサいしFMCなんて恥ずかしくて海外の人には見せられません。

治療した後にも問題が起こるなんて治療方法としてどうなの?って感じだしまったくおすすめできません。

メリット

  • 保険が使えるので安い
  • 強度が高いので割れにくい

デメリット

  • 金属アレルギーの心配がある
  • 金属イオンが溶け出して歯茎が黒くなる
  • 接着剤が溶けて外れることがある

自費の被せ物について

自費の被せ物の代表はセラミックです。

セラミックにも種類がたくさんあるので別記事にまとめてます↓↓

セラミック=オールセラミックではない

ここではセラミック以外の自費の被せ物について紹介しますね。

金の被せ物

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詰め物(インレー)のときにも紹介した歯に優しいゴールドの被せ物。

大きさと金の純度で価格は変わりますが、1本5万円~7万円くらい。

金属だけどアレルギーが出にくい、金属イオンの溶け出しもしくいから歯茎の変色も起こりにくい、柔らかいのでかみ合わさってる反対側の歯を傷めないと有能です。

ただまぁ問題は見た目。

なんか金歯って借金取り立て屋のボス(身長が低くて小デブでガマガエルみたいな顔でド派手なスーツ)みたいな悪人のイラストでよく描かれてるイメージがあって、結構印象悪いんですよね個人的には(^-^;

性能はピカイチなのにな~もっといいキャラクターに使ってイメージアップしてくれないかな~

メリット

  • 割れにくい
  • 物自体を薄く作ることができるので歯を削る量が少なく済む
  • 金属の溶け出しによる着色がほとんどない
  • きちんと使えば何十年と長持ちする
  • 柔らかいので噛むときに当たる反対側の歯を傷つけない

デメリット

  • 保険が使えないため高価
  • 見た目が悪い

まとめ

神経を抜くことになるとかなり大掛かりな治療になります。

どこか1本だけの治療でも全部終わるまで2~3ヶ月はかかります。

そして1週間~2週間に1回くらいの細かい間隔で通院が必要です。

期間はかかるし通院もこまめに必要だし、おまけに天然の歯のようにきれいな見た目にしたいなら何万円と高額な費用がかかります。

まずは何よりも神経を取るレベルまで虫歯を進行させないこと。

そのためには

  1. 定期的に歯医者に通って虫歯がないかチェックしてもらうこと
  2. 虫歯が見つかったら放置せずにすぐ治療すること

これが大切です。

神経を取って被せ物にしないといけなくなったときは、目先の安さにとらわれず長いスパンで今後のことを考えて、土台と被せ物の材質を決めてほしいなと心から思います。

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